AGAとはどういうことか
AGAとはAndrogenetic Alopeciaの略であり、男性型脱毛症のことを言います。抜け毛・薄毛で40代以降の中年男性に多く見られる症状ですが、思春期以降の男性なら誰でも現れる可能性があります。額の生え際や頭頂部の髪どちらか一方または両方が、抜け毛や薄毛となり発症すると早く進行していきます。ハゲは様々な種類があり10円ハゲやストレスハゲと同じではないかと思われるかもしれませんが、男性型脱毛症には原因と定義がありその他の脱毛症とは違います。いわゆるハゲは脱毛状態の総称であるので、AGAはその一種と言えます。AGAの頭皮にはDHTという男性ホルモンが高濃度にみられ、このDHTが原因だと特定されています。
ヘアサイクルついて
髪の成長するサイクルいわゆるへアサイクルに異常がでるのがAGAの症状です。ここで髪が生えるサイクルについてご説明を致します。
髪は地肌からでている毛幹(主に髪の毛と呼ばれているところはここ!)、地肌の中にある毛根に分けることができます。髪の伸びる仕組みとしては、毛根の先膨らんだ部分にある毛乳頭が毛母細胞に指示をだしています。この毛母細胞が分裂し、それが髪となり成長していきます。髪は一定の期間を経つと自然に抜け落ち、抜け落ちたところからまた新しい髪が生えてくるというのを繰り返しています。
一本の毛髪が成長し始めてから抜け落ちるまでの周期を「ヘアサイクル」といい、平均して2~6年の期間でまわっています。ヘアサイクルの中で大部分の期間は、毛母細胞が分裂し髪が伸びる成長期で、この期間が長いほど髪は長く太くなる傾向にあります。その後成長が止まる退行期(2~3週間)へと移っていき、更に休止期(数ヶ月)になると、毛根の位置が浅くなっていき、その毛穴の奥で新たに成長を始めた髪に押し出されるようにして自然に抜け落ちます。
AGAになる原因・仕組み
AGAの原因DHTはヘアサイクルの成長期の期間を短く(数ヶ月~1年未満)させます。サイクルが乱れた場合髪は成長しきらずに、弱々しく、短く、細い毛になって脱毛してしまいます。このような症状になる男性ホルモンDHTがどのように生成されるのか詳しく説明しましょう。
思春期以降の男性において、男性ホルモンのひとつ「テストステロン」が分泌されます。これが毛乳頭細胞に運ばれると、「5a還元酵素」という酵素の働きで、「テストステロン」が「DHT ジヒドロテストステロン」になり、毛乳頭細胞にある受容体と結合します。すると毛乳頭細胞では「TGF-β」というタンパク質が産生されます。
「TGF-β」はいわば脱毛指令因子であり、これが毛母細胞の分裂を抑制し、成長期の髪が退行期に移行します。このため髪の成長へ充分な期間がとれず、短く細い毛になってしまいます。またDHT皮脂を大量に出すため新しい毛が育ちにくい環境が生まれてしまいどんどん脱毛していくのがAGAです。DHTが主な原因ですが、その他にも遺伝や食生活、運動習慣、髪の毛のケア不足、疾病の有無、ストレス、喫煙、飲酒なども原因となります。AGAは種々の原因からなるため包括的な治療が望まれるのです。
AGA治療とは
薄毛や育毛を謳ったものはこの世に数えきれないほどありますが、医学的な見地で科学的根拠に基づいた治療は本当に一握りです。そういった確証のあるAGA治療薬を使うのが主流となっています。まず、DHTの生産を抑制する作用のある薬でブロックすることにより、生産を抑制し、髪の毛を通常のヘアサイクルに戻す薬剤がフィナステリドやデュタステリドです。
同様に髪の毛が生えてくる毛包に働きかけて、成長を促していくことも必要になってきます。発毛促進させるのがミノキシジルという薬剤です。これに加えて頭皮のケアも大事になります。治療を行っても頭皮が不潔で毛穴が詰まっていては発毛効果が得られません。
また、髪の成長に必要な栄養分が不足していると弱い毛になる可能性もあります。AGA治療はこのように多角的に治していくのが大切となっていきます。
AGAの薬(フィナステリド・デュタステリド・ミノキシジル)
AGAの治療薬として使われている代表的な薬剤をご紹介します。
フィナステリド(プロペシア・フィナステリド錠・フィンペシア 等)
フィナステリドは米国のメルク社が開発したプロペシアの主成分です。プロペシアジェネリック(後発医薬品)も各種製造販売されていて、抜け毛を防ぐ薬として世界中で信頼されています。現在は有効成分の含量が0.2mgと1mgがあり、AGAの治療では通常1mgのものを使用します。AGAの原因となるDHTを作り出す5a還元酵素のⅡ型(先頭部と頭頂部)を阻害する作用があり、DHTになる過程をブロックします。DHTの生産を抑制することで髪の毛を通常のヘアサイクルに戻します。
デュタステリド(ザガーロ・アボルブ・デュタス 等)
デュタステリドは元々、前立腺肥大症の薬「アボルブ」として製造販売していた歴史があります。その後AGAにも効果があるとして、2015年9月に「ザガーロ」の名称でAGA治療薬として承認されました。有効成分の含量は0.1mgと0.5mgの2種類あり、ザガーロとアボルブは名称こそ違いますが成分はいずれもデュタステリドで中身は同じものです。またこちらもジェネリックが各種製造販売されており、世界中で使用されています。デュタステリドはⅠ型(側頭部と後頭部)とⅡ型(先頭部と頭頂部)両方の5a還元酵素を抑制するため、抜け毛の防止効果はフィナステリドを上回ることが確認されております。ただし、女性への使用は出来ませんのでご注意してください。
ミノキシジル(リアップ・ロゲイン・カークランド・ミノキシジルタブレット 等)
元々は米国で開発された高血圧の内服薬で、服用していた方に発毛が確認され、脱毛症の治療用として使用されるようになりました。海外ではミノキシジル・ミノキシジルジェネリックは多数販売されてます。また外用薬として国内だとリアップ・ロゲインに使われている主成分であり、頭皮の気になる部分に塗って使用します。髪の毛が生えてくる毛包に働きかけて、成長を促します。また、血管を拡張作用によって頭皮の血流を促すことで発毛効果があると言われています。
フィナステリド・デュタステリドが毛が抜けるの防ぐ守りの薬と考えると、ミノキシジルは発毛を促す攻めの薬と言えるでしょう。
※AGA治療薬の効果が確認されるまでは、6ヶ月程度は毎日投与を続けなければいけません。効果を継続させるためにはさらに長期間の投与が必要となります。理由としては飲んで24時間で成分が体外に排出されてしまうため、持続的な効果を得る為には毎日飲む必要があるということです。
今回は「AGAとは」どういうことか改めて見ていきました。短く細い毛が多い・抜け毛が増えてきたなと思われた方は、ヘアサイクルに変化がありAGAの兆候が見られるのかも知れません。ヘアサイクルのチェック・AGA治療のご検討・費用ってどのくらいだろうと思われた方は、一度お気軽にクリニックでご相談してみてはいかがでしょうか。