AGAと円形脱毛症 

AGA(男性型脱毛症)という言葉が一般的になる前は、脱毛症といえば円形脱毛症がよく知られていました。これをご覧のみなさまは、AGAと円形脱毛症の違いはご存知でしょうか。どちらも髪が抜けるということに変わりはありませんが、原因が違います。ということで、今回はAGAと円形脱毛症の違いや治療法、自己判断の危険性などについてご説明いたします。

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AGAとは?

AGAは「エージーエー」と読みますが、これは略語です。正式には「Androgenetic Alopecia」と言い、日本語に訳すと男性ホルモンの脱毛症という意味になります。そのため、AGAは日本語では「男性型脱毛症」と言われることが多いです。男性型というだけあって、AGAは男性に対する疾患の呼称です。女性のAGAの症状には「FAGA(Female AGA)」という別名があります。

AGAの特徴としては、男性ホルモン(ジヒドロテストステロン→略称:DHT)の影響で薄毛が進行してしまうことや、生え際や頭頂部の髪の毛が薄くなっていくことが多いことが挙げられます。また思春期以降でしたら誰しもが発症する可能性があるので、20代や30代の方でもAGAの方はいらっしゃいます。

一般的に年齢が上がるにつれて老化現象として薄毛が進行するというイメージがありますが、老化だけが原因とは限りません。確かに老化で薄毛が起こることもありますが、実は多くの薄毛は男性ホルモンが関係するAGAの場合が多いので、簡単に老化と諦めてしまうのは間違いです。

■治療法

現在のAGA治療の主流は、男性ホルモンが関与する5α還元酵素(AGAの原因)を抑える内服薬です。薬の成分名では「フィナステリド」や「デュタステリド」という成分が有効であり、いろいろな商品名の薬が広く治療で使われています。また、発毛促進の「ミノキシジル」を併用するとさらに効果的です。ミノキシジルは「リアップ」や「ミノキシジルローション」等の外用剤にも使われています。

■まとめ

・AGAの発症部位は前頭部や頭頂部が多い。

・原因は男性ホルモンの一種ジヒドロテストステロン。

・思春期以降であれば発症年齢は幅広い。20代・30代もいる。

・有効な内服薬・外用剤治療がある。

円形脱毛症とは?

AGAが生え際や頭頂部から徐々に進行していくのに対し、円形脱毛症は部位は問わず、コイン状に抜け落ちていくことが多い脱毛症です。多くは頭髪部で起こることが多い疾患ですが、重い症状では全身の毛に影響が出ることもあります。また、初期は10円玉ぐらいの大きさの脱毛から始まることが多いのですが、それらが多発したりつながったりすることによって、脱毛部が広範囲に及んでしまうこともあります。

円形脱毛症の原因は自己免疫が影響していると考えられています。自身のリンパ球が髪の毛の根本の毛包を攻撃することによって壊されてしまうのです。それではなぜ攻撃するのかということですが、このことはまだ詳しくは分かっていません。

また、「ストレスが原因で円形脱毛症になる」という声を聞きますが、今ではストレスは関係ないと考えられています。よって、ストレスを感じにくい乳幼児も発症する可能性があり、年齢差や男女差もない疾患です。

■治療法

円形脱毛症は保険適用されるので、治療は一般皮膚科等保険医で行うことが多いです。外用剤と内服薬の治療があり、外用剤としてはステロイドや塩化カルプロニウム等が使用されます。また状態によっては、ステロイドの注射や保険適用外の局所免疫療法等もありますが、医師との相談が大事です。

■まとめ

・コイン状に脱毛する。単発の場合以外にも複数や広範囲の場合もある。

・原因は自己免疫の誤作動であると考えられている。

・ストレスは原因ではないと考えられている。

・男女差や年齢差はない。

専門医に相談することは重要

以上のように、AGAと円形脱毛症は原因が異なります。また原因が異なることから使用する薬も違ってきます。よって、自己判断せずにきちんと専門医の診断を仰ぐことが治療において大事になってきます。

一昔前までは脱毛症といえば円形脱毛症が一般的だったため、「ストレスが溜まってるのかな?ちょっと休息すれば自然と治るだろう」と思っている方が今でも多いのですが、これが原因で悪化することも十分に考えられます。

ある患者様は、入浴時や起床時の抜け毛の多さがだんだん気になっていたものの、「10円ハゲでもできたかな?まぁ、放っておいても治るでしょ」と特に何も対処することなく過ごしていましたが、いよいよ見た目が深刻になってきて専門医に相談すると、男性ホルモンが関与するAGAの疑いが高いことが分かりました。AGAは進行性なので、早めに相談して適切な治療をしていたならば、見た目の進行は食い止められたかもしれません。

この例はAGAの方でしたが、同じ様なことが円形脱毛症の方にも言えます。素人判断をせずに、きちんと専門医に診断を仰ぎ治療することが、改善への最短距離になるのです。

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